森羅情報サービス


食べ物

エコナの発ガン性に関する情報

 標題に「発ガン性」などと書いていますが、先日の「グリシトール」の話ではありません。その前から食品安全委員会の中で取り上げられていた、エコナの主成分であるジアシルグリセロールにガンのプロモーターとしての働きがあるのでは?という疑問についてです。

 まず、それを「告発」しているサイトです。



エコナ、自社研究でもガン促進を示唆 花王はデータ公開拒否

 この試験では、餌に含まれるDAGの濃度を変えて低用量、中用量、高用量の3つに分けている。まず大腸で、結節(ガンの前段階と考えられる小さな粒状の隆起のこと)が発生した個体数を比べると、対照群であるTGを与えたグループで19匹中12匹なのに対して、エコナのDAG低用量と中用量で19匹。この差は統計的有意な差になっている。

 ただ、DAGの用量が増えるほどガンが増えるといった関連性がはっきり現れていないので、このデータだけで、DAGが原因と結論は下せない。しかしこのデータで安全性を証明できていないことは確かだ。



 続いて、それに対する批判記事です。



続・DAG(ジアシルグリセロール)はどのくらい危険なのか(続々々・エコナはどのくらい危険なのか)

(上記の記事を引用して)

という記述があります。ここだけ読むとDAG油によりガンが明らかに増加しているように感じますね。確かになんか怖いです。こういう事実を隠蔽しようとしている花王や厚労省に憤りを感じてしまいます。

しかし,論文上で公開されているデータ(p.162-164, Table6)を良く読むと,確かに抜き書きされているデータは正しいのですが,その他にもたくさんデータはあるのです。

たとえば腎芽細胞種の場合,中性脂肪を摂取していない群で18匹,5.5%の高リノール酸TAGで17匹,高オレイン酸TAGで13匹,中鎖脂肪酸TAGで15匹が発症していると書かれています。

同様に移行上皮ガンについても,確かに5.5%TAG群の発症は0匹ですが,中性脂肪を摂取していない群でも4匹,5.5%の高リノール酸TAGで8匹,高オレイン酸TAGで6匹,中鎖脂肪酸TAGで3匹が発症しているのです。これではとてもじゃないですが,DAG油ががんの発生を促進しているなんて口が裂けても言えるわけがないですね。これらの全データが提出されたワーキンググループでも,さほど重要性を感じられることなく流されたのは当然かと思います。

それにしても,せっかく一般に公開されていないデータを入手できたのに,そんなせっかくのチャンスを持てたのにこの記事の著者である植田さんは

このような恣意的な抜き書きをして,
何をしたかったのでしょう??

せっかく真実により近づける立場にあるのに,どうしてこんな真実から人々を遠ざけるような無駄なことをわざわざしてしまっているのでしょうか。ある意味ジャーナリズムの対極とも言うべきこの態度は,非常に理解に苦しみます。

…………,嘘です。ごめんなさい。あまりに意図がわかりやすくてあきれてしまいました(--;;;;;

このことに気がついた瞬間に,これ以上論文を精読しようという気力が失せてしまったことを,勘弁していただけますでしょうか?ちなみにざっとこのTable6や他のデータを見回しては見ましたが,とても有意差が出ていると言えるような結果はありませんでした。そりゃあ,中間とりまとめの方もあれだけあっさりした要約になるはずです。

まぁ,きっと植田さんも全部のデータを眺め回したはずですし,それにも関わらずあの程度の部分を抜き書きすることでしか煽れなかったんですから,当然かもしれません。

というか,元データを見られた瞬間にすべてのロジックが崩壊してしまうんですから,専門家相手にはこんな煽りは絶対通用しません。明らかに元データにアクセスできない一般の方を狙った手口ですね。個人的には,意図的にやったとしたらかなりたちが悪いという印象を持ちました。正直軽く怒ってます。もし意図的ではなく,本気でこの程度の情報しかあのテーブルから抽出できなかったのだとしたら,こういう分野について文章を書くのは止めた方がいいです。明らかに向いていません。別の分野の記事を書くことに専念することをお勧めします。って,ひどい言いぐさですね。あまりに人間出来てないです>私。

以前のエントリで私が「花王を擁護したいだけじゃないのか」というようなコメントを下さった方がいらっしゃいましたが,このような「大企業を批判して小金を稼ぎたいだけの理不尽な批難」と戦うためであれば,いくらでも擁護したい,というのが今回一連の研究を調べた上での感想です。



 ところで、批判されている元の記事でも、こんな記述があります。



 さらにこの試験でおもしろいのは、高リノレン酸、高オレイン酸、中鎖脂肪酸など他の油も一緒に試験している点だ。発ガン促進作用が指摘されていないこれらの油でも、なぜか腫瘍が増えている。

 それが何を意味しているのかは、今のところ不明だ。可能性は二つある。他の油も危険性があるということなのか、それとも安全な油でも片っ端からガンを起こしてしまう、いいかげんな試験だということなのか。

 花王は頼まれもしないのに、何故、他の油も試験しているのか?「エコナが問題にされるとすれば、他社の製品も道連れだ」という花王の殺気も感じられるデータだ。しかし少なくともエコナは、「健康に良い」という宣伝が許可されている、特定保健用食品(トクホ)。他の油は、中鎖脂肪酸以外はトクホではない。

 このデータから我々が判断できることは、少なくとも、何か特定の成分を高濃度にしたものには気をつけたほうがいいな、という程度である。これで「安全」といわれても困ってしまう。



 要するに、エコナを安全ではない、と言っている人も、他の油でも同様の結果が出ていて、エコナだけが危険ということはできないことは理解しているようなのです。

 「エコナだけが危険ということはできない」データを見て、「エコナが安全と言われても困ってしまう」と言っているわけです。まことに見事な詭弁の見本のようなものです。

2009年11月07日 | 食べ物 | why


コメント

コメントはまだありません

:

:
: