森羅情報サービス


食べ物

『「食糧危機」をあおってはいけない』

 『「食糧危機」をあおってはいけない』(川島博之 著 文藝春秋 刊)という本を読みました。ペーパーバックスのような作りの本で、価格も安くしてあります。なんだか安っぽいのですが、中身はなかなか「驚愕の事実」が書いてあります。

 「食糧危機」説には批判的な私ですが、それでもこの本を読むまでは事実だろうと信じていたことが、事実のレベルで否定されているのですね。



[書評]「食糧危機」をあおってはいけない (川島博之)

「目からウロコの真の啓蒙書」
ぼくはすでに四〇年以上生きてきて、これが何度も繰り返されているのを見ている。そして一度たりとも、危機論者のあおるような危機が起きていないのも知っている。それは危機論者たちは根本的にまちがっているからだ。食糧を取り巻く環境についてきちんとした本を読んで、もうこの手の扇動にまどわされないようにしようじゃないか。 そのための絶好の一冊が、この本だ。 (山形浩生)

すべて俗説です!
*BRICsの成長で穀物の需要急増?
*「買い負け」で魚が食べられなくなる?
*人口爆発で食糧が不足する?
*水も肥料も足りない?
*地球温暖化で生態悪化?
*バイオ燃料が人々のパンを奪う?



 アメリカで地下水をくみ上げて農業をしているところで、やがて地下水が枯渇して、生産できなくなる、という話はテレビでもやっていて、少しは気にしていました。全体としてはともかく、アメリカの農業にとっては大問題なのだと思っていたのです。

 ところが、この本によると、そういう地域はアメリカの農地の5%程度で、もともと生産性が低くて地域の住民の生活を保障する意味もあって、補助金を出して農業を維持しているところなのだそうです。

 しかもその地域でも、地下水の水位が下がらないように、慎重にくみ上げるプログラムが実施されていて、州政府は維持可能性に問題はないと言っているのだそうです。こういう情報は公開されていますが、なかなか伝わってこないのです。

 さらにアメリカでは生産調整によって作付けしていない地下水地帯の数十倍もの土地があり、全く心配ないというか、些細な問題なのだそうです。

 この本は有名な「オオカミ老年」レスター・ブラウンの食糧危機説に対する全面的な反論になっています。何十年も食糧危機が来ると言い続けて、まったくその徴候がなくても平然としていられるブラウン氏自身、自分の食糧危機説なんか信じていないのだと私は思っています。

 もし本当に信じていたら、その説が実証されなかった時、困ってしまって考えるものです。事実を無視していられるということが、彼の説が単なる商売上の芸風であることを示しています。

 日本では幻の「食糧危機説」が農業政策の基本になっています。これは根本的に間違った方針であるので、やればやるほど日本の農業は衰退すると著者は言っています。私も全くそのとおりだと思います。

2009年04月03日 | 食べ物 | why


コメント

コメントはまだありません

:

:
: